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公開日:2020-09-09

ゴーヤのワタは苦くない!?管理栄養士が解説するゴーヤの基本知識

スタディー

2020年9月9日公開  2024年7月19日更新
 

ゴツゴツした見た目のゴーヤは、日本の南国沖縄の代表的な野菜で、夏を感じる食材ですよね。

目が覚めるような苦味が特徴ですが、この苦味成分には優れた健康効果が期待できるんです。

この記事では、ゴーヤの栄養や、栄養をキープしながら苦味を和らげる調理法などについて紹介します。
 

ゴーヤってどんな野菜?


 
ゴーヤはウリ科ツルレイシ(ニガウリ)属に属する一年草の植物で、つる性のため熱中症対策としてのグリーンカーテンとしてもおなじみですよね。

原産地は熱帯アジアや東インドなどの地域で、日本には中国を経て江戸時代に伝来したとされています。

当時は沖縄県や九州などで南の地域で栽培されていましたが、1990年代に沖縄県の野菜が全国に出荷されるようになり、沖縄料理のブームもあり日本各地にゴーヤが普及していきました。

現在でも最も生産量が多いのは沖縄で、全体の4割を占めます。
次いで宮崎県、鹿児島県などで多く、関東では群馬県で生産されています(*1)。

ゴーヤの旬は6~9月の夏場です。
近年では通年流通していますが、生産量が多く価格が安定し、栄養価も高くなるのはやはり夏ですね。

体を冷やす作用が強い野菜ですので、寒い季節に食べるのはあまりおすすめしません。
 

ゴーヤの栄養と効能


 
ゴーヤは中国語でも「苦瓜」または「涼瓜」と呼ばれ、薬膳では体内の熱を取り去り、余分な水分を排出する薬効があるとされています。

ゴーヤの特徴的な苦味の元には、優れた健康効果が期待できることが分かっています。
 

苦味成分「モモルデシン」と「チャランチン」

 
ゴーヤには、何種類かの苦味成分が含まれています。
これは、種が熟す前に鳥などに食べられないために身を守る知恵だといわれています。

その苦味成分の一つは、フラボノイド系成分「モモルデシン」。

胃腸の粘膜を保護したり、胃液の分泌を促したりする働きがあるため、食欲を増進する効果が期待できます。

また、神経に働きかけて気持ちをスッキリさせる効果もあるとされています。

まさに暑い夏の季節にぴったりの野菜!夏バテ予防や疲労回復に一役買ってくれますね。

ほかにも、血糖値を下げる、血圧を安定させるといった作用もあります。
 

もう一つ注目したい苦味成分は「チャランチン」。

脂溶性のたんぱく質で、すい臓の働きを活性化して正常な働きに戻すように作用するため「植物インスリン」とも呼ばれます。

チャランチンは、すい臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げます。

そして、インスリンだけではなく、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌にも作用します。

そのため血糖値を下げすぎず、安定させる効果が期待できるとされています。

ほかの苦み成分としては「ククルビタシン」というものがあり、キュウリやスイカなどのウリ科の植物のヘタ付近にも含まれています。

こちらも血糖値や血圧を安定させるとされています。
 

ビタミンC

 
ゴーヤには、100g当り76mgとビタミンCが豊富に含まれています。

同じ夏野菜の100g当りのビタミンC含有量は、トマトが15mg、なすが4mg、きゅうりが14mgですので、ほかの野菜と比較してもゴーヤにはたっぷりのビタミンCが含まれていることが分かります。

ビタミンCは強い抗酸化作用をもつ栄養素で、活性酸素の害から細胞や組織を守り、老化や動脈硬化の予防に効果が期待できます(*2)。

コラーゲンを合成するときにも必要不可欠なビタミンCは、美肌のためには欠かせない栄養素です。

血管を丈夫にして動脈硬化を予防する、骨を丈夫にするといった効果も期待できます(*3)。

また、ビタミンCはメラニン色素を作り出す酵素「チロシナーゼ」の働きを阻害するため、紫外線が気になる季節には特に意識して摂りたい栄養素ですね。

さらに、腸管での鉄の吸収率を高めるといった働きもありますので、鉄が多く含まれる牛もも肉などの赤身肉などと組み合わせて食べるのがおすすめです。

ゴーヤといえば豚肉と合わせるのが定番ですが、牛肉もまた違ったおいしさが味わえますよ。

ゴーヤのビタミンCは加熱しても比較的壊れにくいという嬉しい特徴があります。

油と相性のいい野菜なので、さっと炒めればビタミンCの損失も少なく、苦味も和らぎ食べやすくなりますよ。
 

カリウム

カリウムは野菜や果物に多く含まれている栄養素ですが、ゴーヤにも100g当り260mgのカリウムが含まれています。

カリウムを十分に摂取することで、体内の余分な塩分を排出し、高血圧の予防に効果が期待できます(*4)。

また、ダイエットの大敵、むくみの解消にも役立ちます。

夏場は、冷たい飲食物の摂り過ぎやエアコンのあたり過ぎで体が冷え、むくみの症状が出やすい季節です。

ゴーヤは、巡りのいいスッキリとした体作りに役立ちますよ。
 

食物繊維

 
ゴーヤには100g当り2.6gの食物繊維が含まれています。

食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、腸内環境を整えるためにはどちらもバランスよく摂る必要があります。

ゴーヤに特に多く含まれているのは不溶性食物繊維で、便のカサを増やして腸内を刺激し、スムーズな排便を促します

また、食物繊維を含むものを食事の始めに食べておくと、血糖値の上昇が緩やかになるためインスリンの過剰分泌を防ぎ、食べた物が体脂肪として蓄積されにくくなります。

ゴーヤが旬の季節には、おひたしなどの常備菜を冷蔵庫にストックしておくと便利ですよ。
 

ゴーヤの栄養素をキープするおいしい調理方法は?


 
ゴーヤのおいしさはその独特の苦味にありますが、苦味が強すぎると少し食べにくさを感じますよね。

ゴーヤの苦味成分は水溶性のため、水にさらすことで軽減できますが、同時に健康効果も薄れてしまいます。

また、ビタミンCやカリウムなども水溶性の栄養素です。

水にさらしたり、茹でたりする時間は短めにするのが、栄養素をキープするポイントです。
 

ワタは実は苦くない?

 
「ゴーヤのワタは苦いからしっかり取り除く」とよくいわれますが、実はワタの部分はほとんど苦味がありません。

一番苦いのは外側の緑色の部分なのです。

ですので、あまり一生懸命取り除く必要はありません。

ワタにもビタミンCやカリウムなどの栄養素が多く含まれていますので、スプーンで軽くなでるように取る位で十分ですよ。
 

ゴーヤの苦みを和らげる調理方法

スライスしたゴーヤを塩でもむ

 
ゴーヤの苦味を程よく残しながらも、食べやすくなります。

口に入れたときは苦味をしっかり感じますがあまり後を引かず、全体的に苦味が和らぎます。

また下味の効果もありますよ。
 

スライスしたゴーヤを塩と砂糖でもむ

 
塩だけの場合と比較してより苦味が和らぐので、苦手な方やお子さんでも食べやすくなります。
 

塩もみしたゴーヤを茹でる

 
塩もみして更に茹でることで苦味を感じにくくなりますが、水溶性で、さらに加熱で壊れやすいビタミンCの損失が大きくなります。

茹でる時間は短時間にしましょう。
 

油で調理する

 
ゴーヤの苦味は、油で調理することで感じにくくなります。

調理油だけでなく、豚バラ肉の脂や、マヨネーズなどの調味料と合わせるのもおすすめです。
 

旨みのある素材と合わせる

 
味付けに麺つゆを使用したり、仕上げにかつお節を振ったりして、旨みを効かせるのも苦味の軽減に効果的です。

ゴーヤを使った料理の代表格「ゴーヤチャンプル」は、豚肉の脂とかつお節の旨みがゴーヤの苦味とマッチする最高の組み合わせですが、栄養的にも理にかなった調理法といえますね。
 

おいしいゴーヤの選び方

 
見分け方が少し難しそうなゴーヤですが、おいしいゴーヤを選ぶポイントがいくつかあります。
 

緑色が濃いもの

 
表面の緑色が濃く鮮やかで、ツヤがあるものが新鮮です。

硬さを感じる位ハリのあるものがいいでしょう。

しかし、緑色が濃いほど苦味が強い傾向がありますので、苦味が苦手な方は薄いものを選ぶと食べやすいかもしれません。
 

重みを感じるもの

 
手に取ったときに、ずっしりとした重みを感じるものがおいしいゴーヤです。
 

イボがぎっしりと詰まっているもの

 
表面のイボが隙間なくぎっしりと詰まっているものが新鮮です。

イボがつぶれていたり、傷がついているものは避けましょう。

イボのサイズが小さいほうが苦味が強く、大きいほうが苦味が少ない傾向があるようです。
 

ゴーヤを食べて元気に過ごそう

 
ゴーヤには、暑い夏を元気に過ごすための栄養素がたっぷり詰まっています。

苦味が苦手で避けていたという人も、その苦味にこそ健康効果が期待できるので、ぜひチャレンジしてみてください!
 

参考元:
*日本食品標準成分表(八訂) 文部科学省
*『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』白鳥 早奈英、板木 利隆 監修
*『からだに効く 和の薬膳便利帳』武 鈴子 監修


*1 野菜情報サイト 野菜ナビ 2020年データ
*2 e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン
*3 厚生労働省 eJIM ビタミンC
*4 e-ヘルスネット カリウム

 

▽ゴーヤの苦味の抑え方や保存方法はこちら▽


 
 
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この記事を書いた人

池田 明日香

管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として治験コーディネーター業務に携わる。
その後、食品メーカーにて料理教室運営や商品・メニュー開発などに従事し、現在は食と健康関連のコラム執筆、オンラインでのダイエットサポートなどで活動中。
日々の生活に役立ち、キッチンに立つのが楽しくなるような情報をお届けします。

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