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公開日:2023-04-10

野菜界のトップクラス!?「大葉」のもつ驚くべき栄養素【栄養士監修】

スタディー

 
夏になるにつれて、サッパリした料理に手が伸びがちですよね。

しかし素麺やサラダなどのようなさっぱりした料理は、栄養が偏りがちで、夏バテや夏風邪の原因になってしまうことも。

そこで栄養が偏りがちな食事のときは、夏場の薬味でおなじみの大葉をプラスするのがおすすめです!

実は大葉は野菜の中でもトップクラスの栄養素が含まれている、優秀な食材なのです。

今回は、そんな大葉の栄養素・成分の効果効能、「しそ」との違い、そしておいしい大葉の選び方・保存方法を紹介します。
 

「大葉」と「しそ(紫蘇)」の違い


 
「大葉」と「しそ」の違いを知っていますか?

実はどちらも同じものなのですが、呼び方や調理法で使い分けされています。

というのも、しそ(紫蘇)は、シソ科シソ属の植物の総称で、中でも食用とされる赤紫蘇や青紫蘇を指すのが一般的です。

赤紫蘇は梅干しや紅しょうがの色付けとして、青紫蘇は天ぷらや刺身に添えたり、刻んで薬味などに使われます。

一方の大葉は、一般的に香味野菜として販売されている、葉の形状のままの青紫蘇にのみ使われる呼称となります。

ジュースやドレッシングなど葉の原型がなくなるように調理されると、青じそであっても「しそ」として扱われることが多いです。

また、地域によって「大葉」か「しそ」で呼び方が異なり、中部〜近畿地方にかけてと東日本の日本海側では「大葉」、そのほかでは「しそ」と呼ぶ地域に分かれているそうです。
 

大葉の代表的な栄養・成分

それでは、ここからは大葉とそれ以外の薬味食材を栄養素別に比較してみましょう。

また、各栄養素の1日の摂取基準も併せて紹介します。

栄養含有量:食品成分データベース(1食分薬味として、以下目安となる分量で算出)
食事摂取基準:日本人の食事摂取基準 |厚生労働省(2015年版、2010年版)

  • 大葉(しそ):5g(5枚分)
  • 長ねぎ   :5g(深谷ねぎ)
  • みょうが  :7g
  • しょうが  :3g(おろししょうが)
  • わさび   :3g(練わさび)

 

ビタミンA(β-カロテン)

ビタミンAには動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜に含まれているカロテン(ビタミンAの効果が最も高いのはβ-カロテン)があります。

レチノールを含む代表的な食材は、鶏・豚レバー、うなぎ、乳製品、卵などです。

一方のβ-カロテンは、大葉以外にも、にんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

その中でも大葉は野菜の中でも群を抜いてβ-カロテンが豊富で、にんじんの約1.3倍、西洋かぼちゃの約2.75倍、ブロッコリーの約13.5倍も含まれています(生の状態、可食部100gのβ-カロテン当量)。

ちなみにβ-カロテンは、油と調理することで栄養効率が上がります

ビタミンAは脂溶性ビタミンで、体内に蓄積しやすく、過剰摂取すると害があるため、食事摂取基準ではRAE(レチノール活性当量)の上限値(耐容上限量)が定められています。

しかし大葉に含むβ-カロテンは、身体の必要量に応じてビタミンAに変換されるため、過剰摂取になる心配はありません。

ただし、レチノールである鶏レバーやうなぎなどはRAEの数値が高いため、食べる量には気を付けましょう。


 

ビタミンAの効果効能
  • のどや鼻などの粘膜や皮膚を丈夫にする
  • 視力を正常に保つ
  • 免疫力の向上
  • 抗酸化作用による老化防止
  • 生活習慣病予防

 

ビタミンK

ビタミンKは出血した時に血液を凝固させる成分の合成に必要となります。

また、丈夫な骨をつくるために、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成を促すことで健康な骨を維持してくれます。

もしビタミンKが不足してしまうと、内出血や鼻血など出血がしやすくなったり、骨関連では骨粗しょう症の原因にもなります。

ビタミンKが多く含まれる食材は、緑黄色野菜、海藻、豆類、植物油などがあります。

特に群を抜いてビタミンKが多いのは納豆なので、薬味ながらもビタミンKが多い大葉を加えてサッパリ爽やかに食べるのがおすすめです。


 

ビタミンKの効果効能
  • 血液を凝固させ止血させる
  • 丈夫な骨をつくる

 

カルシウム


 
なじみのあるミネラルの1つ、カルシウムは、99%は歯と骨の成分となります。

そして残りの1%のは血中や細胞内に存在し、筋肉運動や、興奮や緊張を和らげるなど、生命の維持や活動に重要な役割をしています。

また、出血時に血液を固める働きもしてくれます。

カルシウムを多く含む食材は、牛乳、海藻、大豆および大豆製品、緑黄色野菜などです。

カルシウムは体内への吸収率が良くないので、吸収を高めるビタミンDを合わせて摂ることで効率的になります。


 

カルシウムの効果効能
  • 骨と歯の形成
  • 体液、血液を正常な状態で維持
  • 筋肉運動
  • イライラ防止
  • 高血圧、動脈硬化の防止
  • 血液の凝固
  • 酵素の活性化

 

カリウム


 
食事から塩分を過剰に摂取すると、体内のナトリウムが過剰となり高血圧の一因となりますが、この時にカリウムが十分にあると、余分なナトリウムを排出するため血圧を下げてくれます。

これからの季節、夏バテや水太りを解消するためにも利尿作用のあるカリウムは重宝したいところです。

カリウムが多く含まれる食材は、野菜や果物のほか、海藻、イモ類、豆類などがあります。

高血圧予防のためにも、塩分の多い食事には野菜も併せて食べるようにするのがオススメです。

ちなみに野菜全般にカリウムは多く含まれていますが、カリウムは熱や水に弱いため、サラダなど生で食べるか味噌汁やスープの具材にして、水に流れやすいカリウムを効率よく摂りましょう。


 

カリウムの効果効能
  • 塩分排出効果
  • むくみ解消
  • 高血圧予防
  • 筋肉の収縮補助
  • 便秘解消

 

葉酸


 
細胞分裂が活発である赤ちゃんのためにも、特に妊娠期や授乳期のお母さんにとって、葉酸は必要不可欠な栄養素とされています。

また妊娠中に限らず、授乳期の貧血対策や生理痛の改善など、女性にうれしい効果がたくさんあります。

もちろん男性も葉酸を摂取することで、妊娠する確率が上がる効果や、精子の奇形予防の効果が期待できます。

通常の食事量・栄養が保たれている場合、葉酸による直接的な健康被害はないとされていますが、ビタミンB12が体内で不足しがちな人が、サプリなどで葉酸を過剰摂取してしまうと、ビタミンB12が欠乏による大赤血球性貧血の発見が遅れる可能性があるので注意しましょう。

葉酸は緑黄色野菜、肉類、卵黄、牛乳、豆類などの食品に多く含まれています。

カリウム同様水や熱に弱いので、サラダなど生で食べるか、煮汁をスープにして丸ごと食べるのが効率的です。


 

葉酸の効果効能
  • 冷え性、生理痛の改善
  • 妊娠中や産後の授乳期に起こりやすい貧血の予防
  • 認知症の予防
  • うつ病、更年期障害の症状緩和
  • ビタミンB12とともに、「造血ビタミン」として赤血球の生産を助ける
  • DNAの核酸合成や細胞分裂・増殖の促進
  • 骨粗しょう症、動脈硬化の原因物質を減少

 

食物繊維


 
一昔前には「食べ物のカス」と捨てられてしまいがちだった食物繊維は、今では「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義され、「第六の栄養素」として重要視されるようになりました。

食物繊維には、水に溶けないタイプ(不溶性食物繊維)と水に溶けるタイプ(水溶性食物繊維)があります。

水溶性食物繊維は、野菜や果物のほかに、納豆、海藻類などに多く含まれ、コレステロール値や血糖値の抑制に期待できます。

一方の不溶性食物繊維は、繊維の多い野菜や、玄米などの穀類、豆類、キノコ類、こんにゃくなどに多く含まれ、排便が促進され腸内環境を正常に整えてくれます

大葉はこの不溶性食物繊維が含まれています。

食物繊維は消化されないためエネルギー源にならないのですが、基本生のままではかさが多く食べにくいので、蒸したり煮ることで効率よく食べられますよ。


 

食物繊維の効果効能
  • 食後の血糖値の上昇を抑える
  • 血中コレステロール値の低下
  • 肥満予防
  • 糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病を予防
  • 腸内環境の正常化
  • 排便促進

 

α-リノレン酸

 
オメガ3系多価不飽和脂肪酸とも呼ばれるα‐リノレン酸は、身体の中では作られない必須脂肪酸の1つであり、身体にとって必要不可欠な脂質です。

α‐リノレン酸は体内に入るとDHAやEPAに変換され、血液をサラサラにする効果により動脈硬化や心筋梗塞の予防や、脳の働きを高めるなどの効果が期待できます。

α‐リノレン酸を多く含む食材は、えごま油やアマニ油が代表格で、クルミ、なたね油や大豆油といった植物油、白菜やほうれん草などの野菜にも含まれています。
 

α‐リノレン酸の効果効能
  • 生活習慣病の予防
  • がん予防
  • 血流改善、血栓予防
  • アレルギー・アトピー抑制
  • 老化防止
  • うつ症状軽減
  • 脳の活性化

 

ロスマリン酸

 
聞き慣れないロスマリン酸ですが、シソ科ハーブ類の植物に含まれるポリフェノールの一種です。

最近の研究で、ロスマリン酸は「アルツハイマー型認知症の予防につながる可能性がある」ことが発表されました。

そして日本では、大葉に含まれるロスマリン酸が、花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎の軽減することでも知られているそうです。

ロスマリン酸は、大葉をはじめとする、スペアミント、ローズマリー、レモンバームなどのシソ科ハーブ類の植物と、えごま油に多く含まれています。
 

ロスマリン酸の効果効能
  • 脳機能の低下を防ぐ
  • 脳の健康を維持
  • 認知症予防
  • アルツハイマー病予防
  • 抑うつ軽減
  • アレルギー抑制
  • 糖尿病予防

 

大葉の選び方・保存方法

おいしい大葉の選び方

おいしい大葉の選び方は以下の通りです。

OK例
  • 色鮮やかでみずみずしい
  • 葉先までピンとしている
  • 香りのよいもの
NG例
  • 葉が大きすぎる
  • 表面が乾燥している
  • 傷があり、切り口が茶色く変色している
  • 葉が茶色か黒い斑点があるもの

 

大葉の保存方法

大葉は乾燥が敵です。

香りを少しでも長く楽しむには、冷蔵・冷凍する方法があります。

冷蔵保存の場合
  • 葉そのものの保存方法は、ジャム瓶などに少量の水を注ぎ、軸を下にして大葉を入れ、ラップをして冷蔵庫へ。3日に1度水を取り替える。
    (葉に水がつくと傷みやすいので、水は軸に触れる程度入れる)
  • 瓶がない場合は、湿らせたキッチンペーパーで大葉を包み、保存袋や密閉容器で保存する。
  • 千切りは葉元の茎を切り落とし、葉元から先端へくるくると巻いたら端からなるべく細く切る。アクを抜くため大葉を水の入ったボウルに入れ、箸でほぐしながら10秒ほど水にさらしたら、ざるに移ししっかり水気をとる。
    (水切りを手で絞らず、ざるを使うことで見栄えや日持ちがよくなる)
    密閉容器に移し、大葉の上に湿らせたキッチンペーパーを乗せてからふたあるいはラップをする。
  • →約2~3週間

冷凍保存の場合
  • 千切りやざく切りなどお好みでカットしたら、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。凍ったまま使えるので、あらかじめ小分けにしておくと使いやすい。
  • →約1~3ヶ月

 
もし、大葉がしなびかけていた場合は、葉全体を氷水に10分程度ひたしてあげると、水分が全体にいきわたり、ピンとしたみずみずしい状態に戻ります。

氷水から引き揚げたら、葉についた水分をキッチンペーパーでふき取りましょう。
 

積極的に取りたい野菜!

 
お刺身に添えられている大葉は、大葉の殺菌・防腐効果により生魚などの傷みやすい食材を守りながら、お刺身と一緒に食べることで食中毒や消化不良を防いでくれます。

栄養価の高い大葉は、薬味に限らず、料理の1品としてしっかりと食べていきたい食材ですね。

夏の体調不良にもいい栄養素も入っているので、積極的に食べるのがおすすめです!
 

▽大葉を使ったレシピ▽





 
▽大葉が余ったら▽
 

 
 

  • 当ページ監修 管理栄養士プロフィール

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  • 当ページ監修 管理栄養士プロフィール

    片村 優美

    管理栄養士

  • 2004年、国公立大学卒業後、管理栄養士免許取得。
    その後約7年間病院に勤務し、栄養指導や給食管理に従事した。

    私たちの体は食べたものから作られていることを基本に、普段の食事やバランスの良い食生活を習慣化することの大切さを伝える。

    また、間違った情報も多い中で、何が本当かわからなくなることも多い世の中。
    間違った情報はときに健康を害してしまうこともあるので、科学的根拠のある情報を慎重に選んで正確に伝えるよう心掛けている。

    ≪主な実績≫
    日本テレビOha4!NEWS LIVE、読売新聞、女性セブン、女性自身
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この記事を書いた人

nomina編集部

「もったいない野菜でおいしく健康に」をテーマに、ドリンクレシピや野菜の知識などをお届けします。

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