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公開日:2020-11-25

食べ方でも効果が変わる?ヨーグルトの賢い食べ方とその効果

スタディー

朝食にしたり、おやつに食べたりすることも多いヨーグルト。
実は、食べ方一つでその効果が変わることをご存知ですか?

今回は、ヨーグルトにはどのような効果があるのかと、その効果を発揮させる食べ方をご紹介します。

 

ヨーグルトはどのように作られる?

一般的なプレーンヨーグルトは、まず、生乳を加熱殺菌します。
そして、冷却してから乳酸菌を加え、発酵させることでつくられます。

実は、ヨーグルトをつくる上では、この乳酸菌がとても重要な働きをするのです。

乳酸菌は、乳に含まれる糖分を分解して「乳酸」という酸をつくりだします。
この乳酸が、「カゼイン」という乳のたんぱく質に作用し、乳を固め、滑らかにします。
また、ヨーグルトに爽やかな酸味を生みだします。

加える乳酸菌の種類や組み合わせによって、味や舌触りも大きく変わってきます。

そのため、いろいろな味のヨーグルトが市場に出回っているのですね。

 

乳酸菌とは?

乳酸菌とは、糖質(ブドウ糖・オリゴ糖・乳糖など)を栄養にすることで発酵し、「乳酸」をつくる菌のことです。

一般的に、善玉菌と呼ばれるものの一種で、体内の善玉菌の増殖を促したり、免疫力を高めたりする働きがあります。

乳酸菌は、ヨーグルトの他にも、チーズや味噌、日本酒などにも添加されています。

それぞれ、少し酸味がありますが、ヨーグルトと同じく乳酸菌から「乳酸」がつくられるからです。

 

ヨーグルトに含まれる乳酸菌の量は?

ヨーグルトは、1mlあたりの乳酸菌の量に基準があります。

厚生労働省の基準を、以下にまとめました。

  • 無脂乳固形分が8.0%以上のもの
  • 1mlあたりの乳酸菌数または酵母数が1000万以上
  • 大腸菌群が陰性

ヨーグルト1カップを50mlとすると、最低でも5億個の乳酸菌が含まれていることになります。

この基準を満たした上で、実際の乳酸菌の数は、メーカーやヨーグルトの種類によっても様々です。
せっかく買うなら、乳酸菌の多いヨーグルトを購入したいですね。

 

ヨーグルトに含まれる乳酸菌の効果

乳酸菌は、私たちの体内で様々な効果をもたらしてくれます。

では、どのような効果があるのでしょうか。
 

整腸作用

乳酸菌は、整腸作用があります。
生体にとって有害な物質である、アンモニアやインドールなどを産生する、有害菌の繁殖を抑えるからです。

また、乳酸菌から生成された有機酸は、腸の動きを刺激し、便通を促します。

この腸への刺激は、生成された乳酸や他の有機酸によって、腸内内容物が酸性に傾くことによって起こります。
 

発がんリスクを低下させる

乳酸菌によって、腸内が酸性に傾くと、有害菌が減ります。そうすると、有害物質が減少するため、発癌リスクが低下します。

参考:一般社団法人 全国発酵乳乳酸菌飲料協会
 

栄養素の吸収を促す

カルシウム、鉄、ビタミンなどの栄養素の吸収を促します。

これも、乳酸菌が生成した有機酸によって、腸内pHが低下するため起こります。
 

免疫力を高める

乳酸菌によって、腸内環境を良くすることで、免疫力を高めることが可能です。

有害菌が減り、善玉菌が増殖すると、「サイトカイン」と呼ばれる免疫活性物質の分泌が高まります。
そうして起こるのが、リンパ球が活性化です。

リンパ球は、私たちの体の免疫機能を担っています。そのため、活性化されたリンパ球は、私たちの免疫力を高めたり、適切に調整したりします。
 

老化予防

乳酸菌が、肌の老化防止にも役立つといわれています。

継続的に摂取することで、肌の弾力や乾燥が改善したという報告があります。

参考:「Lactococcus lactis H61の老化抑制効果と作用機構の解明に向けて」木元 広実 農業・食品産業技術総合研究機構畜産研究部門

 

ヨーグルトは花粉症に効果があるの?

花粉症にヨーグルトが効く、という噂を耳にして、春にはヨーグルトを積極的に摂取している方も多いのではないでしょうか。

では、実際のところ、ヨーグルトの花粉症への効果はどうなのでしょう。
 

薬のような即効性はない

厚生労働省の記事では、以下のような記載があります。

ヨーグルトや乳酸菌剤ですが、一般医療機関を受診しているアレルギー性鼻炎患者さんの調査では、効果ありと判断されている方は30%以下です

引用元:花粉症の民間医療について 千葉大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科 岡本美孝
厚生労働省

これに対し、漢方薬に対する効果を実感された方の割合は50%でした。
このデータから、ヨーグルトにも効果はあるものの、薬の方が有意性が高いことがわかります。
 

花粉症とはどのような病気なのか

花粉症は、異物と判断した抗原(花粉)を排除するために、抗体を過剰につくりすぎてしまった結果、体調不良を起こしてしまう病気です。

このような、いわば免疫機構の故障により花粉症は起こります。
 

花粉症に効果的なヨーグルトの摂取の仕方

薬のような即効性はありませんが、乳酸菌は免疫力を調整してくれるので、花粉症対策の効果は期待できます。

花粉症に悩んでおり、ヨーグルトで改善したい・・・と考えている方は、ぜひ継続的に普段から摂取することをおすすめします。

参考:「花粉症の疫学と治療 そしてセルフケア」日本医科大学耳鼻咽喉科 大久保公裕 厚生労働省 

 

乳酸菌の種類

ひと口に乳酸菌といっても、350もの豊富な種類があります。

その中でも、市販のヨーグルトに含まれ、人体に有益と言われる乳酸菌を、以下にまとめました。

それぞれ働きが異なりますので、いろいろなヨーグルトを試して、自分にあったお気に入りの1つを探すのも楽しいですね。
 

ブルガリクス菌

「整腸作用」に優れています。

日本の代表的なプレーンヨーグルトに含まれているので、皆さんもよく耳にする菌ですよね。

「抗菌ペプチド」の発現に関わっており、腸のバリア機能を高めてくれます。

また、腸内の免疫細胞に直接働きかけるので、腸の健康維持効果が期待されます。
 

ガゼリ菌

人間の腸内に多く存在する乳酸菌です。

胃潰瘍や胃がんなどの原因となる、ピロリ菌の活動を抑制させる働きがあります。

ピロリ菌は、他の乳酸菌と比較して、粘膜に付着しやすい性質があります。

そのため、「腸内に長くとどまる」ことができます。結果、整腸作用や免疫力の調整に働きやすくなります。

また、内臓脂肪の減少に効果のあるガゼリ菌があります。それが、「ガゼリ菌SP株」です。

ガゼリ菌SP株には、脂肪組織の炎症を抑える働きがあります。

肥満は、脂肪組織が炎症を起こすことで引き起こされるので、ガゼリ菌SP株を摂取すると、肥満防止に役立つことが明らかとなっています。

参考:ガゼリ菌SP株ヨーグルト 雪印メグミルク公式サイト
 

クレモリス菌

乳酸菌には非常に多くの種類がありますが、なかでも「生きたまま大腸まで届くこと」で有名な乳酸菌です。

生きたまま体内に取り込まれることを、「プロバイオティクス」といい、高い整腸作用や免疫力改善に役立ちます。

「乳酸菌の基礎知識」 日本Luna公式サイト

 

おすすめのヨーグルトの食べ方

おすすめのヨーグルトの食べ方、量などをまとめました。
ポイントは、少量でも大丈夫ですので、無理せず継続的に摂取することです。
 

継続的に摂取する

乳酸菌は生きたまま大腸に届きますが、それらは腸内に定着するのではなく、糞便とともに排出されます。

つまり、乳酸菌による効果を期待するには、継続的にヨーグルトを摂取する必要があるのです。
 

目安は1日に2パックまで

ヨーグルトの摂取量は、1日に2パックまでが目安です。

ほかに牛乳などの乳製品を摂取している場合は、1個までを目安にするといいでしょう。

何物もとりすぎは毒になります。

加糖ヨーグルトの場合は、糖分の過剰摂取にもつながるので、食べる量には注意しましょう。
 

空腹で摂取しない

乳酸菌は、強い酸性に弱く、空腹状態で摂取すると胃酸で死んでしまうことがあります。

せっかく摂取するなら、効率的に乳酸菌を摂取したいですよね。
食事中や、食後にヨーグルトを食べると、より効果が期待できます。
 

食物繊維・オリゴ糖を含む食品と組み合わせる

食物繊維やオリゴ糖は、乳酸菌が増殖する際の「エサ」となります。

そのため、同時に摂取することで、より効果的に乳酸菌を増やし、腸内環境を整えることができます。

食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の二種類があります。
乳酸菌の餌になるのは、特に「水溶性食物繊維」です。

この水溶性食物繊維を多く含むおすすめの果物は、キウイ!

安価で1年中手にはいる果物ですので、是非ヨーグルトに入れて食べてみましょう。

また、オリゴ糖を手軽に摂取できる食品が、はちみつです。
はちみつとキウイを入れたヨーグルトを、間食や食後のデザートにすれば、腸内環境も整い、腹持ちもいいのでとてもおすすめです。

参考:「食べた乳酸菌は定着しない」光岡 知足
「ヨーグルトはいつ食べたらいいですか?」グリコ公式サイト

 

ヨーグルトの効果、今後にさらに期待

ヨーグルトには、様々な種類の乳酸菌が含まれています。

また、その食べ方や組み合わせによっても、効果が変わってくるのが面白いですね。
乳酸菌の研究は現在も進んでおり、いまだわかっていない効果も、今後明らかになってくるはずです。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌の、さらなる働きに期待ですね!

 
 

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この記事を書いた人

坂田 芽唯

管理栄養士
東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻卒業後、給食提供のほか離乳食指導や食育指導を経験。
その他、カフェへのメニュー提供やライター、料理動画制作など幅広く活動している。原動力は「おいしい」の笑顔。

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