公開日:2021-04-10
春の味わい「スナップエンドウ」の栄養と嬉しい効能を解説
スタディー

サクサクとした食感が楽しく、ほんのりとした甘みが味わえる「スナップエンドウ」。春先から店頭に並び始めるのを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
実は、おいしいだけでなく、野菜と豆の両方の特徴を併せ持つ栄養価の高い野菜なんです。
今回は、スナップエンドウの栄養について、おすすめの食べ方や選び方と合わせてご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
スナップエンドウってどんな野菜?
スナップエンドウはえんどうの仲間で、豆の甘みと、シャキッとしたさやの食感を味わえる緑黄色野菜です。グリーンピースを改良した品種で、1970年代にアメリカから導入されました。
絹さやに比べてさやがふっくらとしていて厚みがありますが、豆が大きく育っても固くならないので、さやごと食べられるのが特徴です。柔らかくサクサクとした食感で、別名「スナックエンドウ」とも呼ばれます。
えんどうは、豆が大きくなる前の未熟なさやを食べる「サヤエンドウ」、グリーンピース大まで育った未熟な豆とさやを食べる「スナップエンドウ」、未熟な豆をさやから剥いて食べる「実エンドウ(グリーンピース)」があります。
それぞれたくさんの品種が開発されていて、比較的育てやすいことから家庭菜園でも人気があります。
ちなみに、「豆苗」はえんどうの若芽と茎を食べるものです。
■豆苗についてはこちら
小さな葉に栄養がぎっしり!豆苗の栄養と嬉しい効能を解説
スナップエンドウの栄養と効能
スナップエンドウは、βカロテン、ビタミンB1などのビタミン類や、食物繊維、たんぱく質などが含まれる栄養価の高い緑黄色野菜です。以下で詳しく見ていきましょう。
β-カロテン
【βカロテン含有量…400μg/100g当り】
βカロテンは「プロビタミンA」とも呼ばれ、体内で必要に応じて皮膚や粘膜を守るはたらきがあるビタミンAに変換されます。
喉や鼻などの粘膜を強化してくれますので、花粉症の症状緩和にも役立ちますよ。
また、目の健康維持にも関わる栄養素で、薄暗い場所での視力を保つはたらきがあります。
β-カロテンは全てがビタミンAに変換されるわけではなく、一部は脂肪組織に蓄えられます。抗酸化作用をもち活性酸素の害から身を守ってくれますので、生活習慣病の予防やアンチエイジングにも効果が期待できますよ。
脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。(※1)
ビタミンB1
【ビタミンB1含有量…0.13mg/100g当り】
ビタミンB1は、食事から摂取した糖質をエネルギーに変換する際に、酵素のはたらきを助ける補酵素となる栄養素です。
不足すると十分にエネルギーを作り出すことができず、疲労感や体のだるさ、食欲不振などがみられることがあります。
ビタミンB1は肉類や魚類、豆類、きのこ類などに多く含まれます。白米を主食とする日本人にとっては不可欠なビタミンですので、食事の際は意識して摂取することが大切です。
玉ねぎやにんにく、ニラなどに含まれる「アリシン」と一緒に摂ると効率よく吸収できます。(※2)
ビタミンC
【ビタミンC含有量…43mg/100g当り】
βカロテンと同様に抗酸化作用をもつビタミンCは、活性酸素の害から細胞や組織を守る働きがあります。
過酸化脂質の生成を抑えることで、動脈硬化などの心臓血管系の病気のリスク軽減に効果が期待できます。
また、ビタミンCは皮膚や軟骨などの結合組織を構成するコラーゲンの合成に不可欠な栄養。美肌や強い骨を保つのに役立ちます。
ビタミンCは熱で壊れやすいため、加熱時間は最小限にするのがポイントです。(※3)
たんぱく質
【たんぱく質含有量…2.9g/100g当り】
豆と野菜の栄養素を併せ持つスナップエンドウは、野菜としてはたんぱく質が多く含まれます。
たんぱく質は、皮膚や筋肉、髪の毛などを構成する、人間にとって重要な栄養素です。また、ホルモンや酵素などの材料ともなり、身体の機能維持に欠かせません。
不足すると、免疫機能や筋力の低下、子どもの発育不良などがみられることがあります。
たんぱく質には、肉類や魚類、卵類などの動物性のものと、豆類、穀類など植物性のものがあります。
どちらか一方に偏らずに、バランスよく食べるようにしましょう。(※4)
食物繊維
【食物繊維含有量…2.5g/100g当り】
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、溶けない「不溶性食物繊維」があります。スナップエンドウに多いのは「不溶性食物繊維」。腸で水分を吸収して膨らんで便のカサを増し、ぜん動運動を活発にして排便を促します。
また、水溶性、不溶性ともに腸内環境を整えるために重要です。消化されずに大腸まで到達し、大腸内の細菌によって発酵・分解されてビフィズス菌などのエサになります。善玉菌が増えることで、腸内環境の改善につながりますよ。
栄養を逃さないおすすめの食べ方
スナップエンドウに含まれる栄養素を効率良く吸収するには、食べ方にコツがあります。
油と一緒に食べる
スナップエンドウに多く含まれるβカロテンは、油脂と一緒に摂ることで吸収率が良くなる栄養素です。油やバターでさっと炒める、茹でた後に良質のオイルで和えてサラダにするといった調理法がおすすめですよ。
水にさらす・茹でる時間は最小限に
ビタミンB1やビタミンCは水に溶けやすい性質をもつ「水溶性ビタミン」。水にさらしたり茹でたりする時間を最小限にすることで、栄養素の損失が少なくなります。
茹でたあとは水にさらさず、ザルに上げてうちわなどであおいで冷ますと良いですよ。蒸して食べるのもおすすめです。
スープなど汁物で食べれば、溶け出した栄養素ごと食べることができます。
にんにくや玉ねぎと一緒に食べる
ビタミンB1は、にんにくや玉ねぎなどに含まれるアリシンと一緒に摂ると吸収率が高まります。
すりおろした玉ねぎでドレッシングを作ったり、炒める時ににんにくをプラスしたりすると、おいしいだけでなく栄養効率も良くなるのでおすすめです。
バターの香りが食欲をそそるこちらのスープは、栄養素を効率よく摂取できるおすすめレシピです。
きのこもビタミンB1が豊富な食材なので、糖質の代謝をサポートしてくれますよ。
*食卓に彩りプラス!きのことスナップエンドウで作るバター醤油スープ
おいしいスナップエンドウの選び方と保存方法
選び方
全体がきれいな緑色で、さやがふっくらとして張りがあるものを選びましょう。さやが張っているものは実がしっかり詰まっていて、豆のおいしさを味わうことができます。
ガクがピンとしているものが新鮮です。
保存方法
乾燥に弱いので、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。あまり日持ちしない野菜なので、なるべく早めにお召し上がりください。
味は落ちてしまいますが、冷凍保存も可能です。固めに茹でて、ジッパー付きの保存袋に重ならないように並べて冷凍します。
参考:野菜ナビ
春を感じるスナップエンドウを食卓に
鮮やかな緑色が食卓に彩りを添えてくれるスナップエンドウは、βカロテンをはじめ、ビタミンB1やビタミンC、食物繊維などを含む栄養価の高さが魅力です。
さっと茹でるだけでもおいしく食べることができますので、ぜひ旬の季節にたくさん召し上がってくださいね。
参考:
『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』白鳥 早奈英、板木 利隆 監修
『日本食品標準成分表2021年版(八訂)』 医歯薬出版
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