公開日:2020-05-13
疲労回復に効果的!ニラの栄養と健康効果を解説
スタディー
滋養強壮にはニラ、そんなイメージがありますよね。中医薬学では、その薬効の高さから精をつける食べ物として重宝されてきました。
私たちの生活に身近な野菜のニラですが、どんな健康効果があるのでしょうか。ニラの栄養について、効率の良い食材の組み合わせ方や、おいしいニラの選び方や保存方法と合わせてご紹介します。
ニラの種類
ニラの原産地は中国西部から東アジア地域といわれ、日本へは中国より伝来したとされます。「古事記」や平安時代の薬物辞典「本草和名」などの書物にその名前が記され、古くから活用されてきたことが分かります。主に薬用とされ、野菜として食べられるようになったのは明治時代以降です。
ニラは通年スーパーで手に取ることができますが、旬は春。一度根元から切って収穫しても再び育ち、年に2~3回収穫できる生命力の強い野菜です。
葉ニラ
スーパーに並んでいる一般的な緑色のニラの事です。最も生産量が多いのは高知県、次いで栃木県や茨城県で多く生産されています。
黄ニラ
一般的な緑色のニラを、日光を遮断した状態で栽培したもの。別名「ニラモヤシ」。ニラ特有の香りが比較的弱く、葉が柔らかくほんのり甘みがあります。主産地は岡山県です。岡山県の郷土料理「黄ニラばら寿司」は、錦糸卵の代わりに黄ニラを使用した華やかな一品です。
花ニラ
一般的なニラとは異なる品種で、葉先に丸い玉のような花芽をつけます。花が開く前に収穫され、柔らかい花茎とつぼみを食用にします。歯触りが良く、香りがマイルドで甘みがあります。
ニラの栄養と効能
ニラは、根元から刈り取ってもすぐに新芽が伸びてきます。その生命力の強さから、古来より精をつける野菜として重宝されてきました。
中医薬学の書物『黄帝内経素問』には、「菜類中、このものが最も温なるもので人体を益する。常にこれを食うがよい」という記述があります。野菜の中でも特に体を温める作用が強いニラは、健康維持のために常食すると良い、という事です。
アリシン
ニラを刻むと、特徴的な強い臭いがしますよね。これは、「アリシン」によるもの。
硫化アリルと呼ばれるイオウ化合物の一種で、独特の辛味や臭いのもとになる成分です。ニラの他に、長ねぎ、玉ねぎ、にんにくなど、ユリ科の野菜に多く含まれます。
包丁で刻む、潰すなどして細胞が壊れると、酵素の働きでアリインという物質からアリシンに変化します。
アリシンは熱に弱いので、加熱しすぎないようにしましょう。ニラを炒め物に使う時は、最後に入れてサッと短時間で火を通すだけで十分です。香りも食感も良く仕上がります。
根元の白い部分に多く含まれているので、切り捨てないようにしましょう。
〇抗菌作用
アリシンは強い抗菌力を持ち、食中毒の原因となるサルモネラ菌やコレラ菌といった病原菌を殺すほどの殺菌力があるとされています。ねぎやにんにくを薬味として使用するのは、食味の面だけではなく食中毒を防ぐためにも役立ちます。
〇血液の流れを促進する
アリシンなどのイオウ化合物には、血液循環を促進する作用があります。血液の流れがスムーズになることで、血栓が作られにくくなり、心筋梗塞などの予防になります。
また、体を温めて冷えを取り除いたり、発汗を促して熱を冷ましたりするのにも役立ちます。風邪をひいたときにはねぎを首に巻く、という民間療法がありますよね。これは先述したアリシンの抗菌作用に加え、このような作用を期待したものでしょう。
〇食欲の増進
アリシンの独特の香りは、消化液の分泌を促して胃腸の働きを整えるため、食欲を増進させ消化吸収を高めます。
〇疲労回復
アリシンは、体内で糖の代謝に欠かせないビタミンB1と結びつき吸収をサポートすることで、滋養強壮・疲労回復に役立ちます。
〇血糖値の上昇を抑制
アリシンは、ビタミンB1とともに、インスリンの分泌を促します。血糖値の上昇を抑制するため、糖尿病の予防効果が期待できます。
β-カロテン
ニラは、100g当り3,500μgとβカロテンを豊富に含む野菜です。
βカロテンは、体内で必要に応じて皮膚や粘膜を守るはたらきがあるビタミンAに変換されます。喉や鼻など粘膜を健康に保つ働きがあり、風邪の予防や花粉症の症状緩和にも効果が期待できます。また、視力を正常に保ち、ドライアイや眼精疲労の軽減にも役立ちます。
β-カロテンは全てがビタミンAに変換されるわけではなく、一部は脂肪組織に蓄えられます。強い抗酸化作用があり、活性酸素の害から身を守ってくれますので、アンチエイジングにも効果的です。
β-カロテンは脂溶性なので、油で調理すると効率よく体内に吸収することができます。
ビタミンK
ビタミンKは、血液の凝固に関わるので「止血ビタミン」とも呼ばれます。血液凝固因子プロトロンビンの生成に関わり、ケガや内出血をした時に出血を止める働きがあります。
また、腸から吸収されたカルシウムが骨に沈着する際に必要なたんぱく質を活性化させる作用があるため、骨粗しょう症の治療薬としても利用されています。腸でのカルシウム吸収を助けるビタミンDとともに、丈夫な骨をつくるために不可欠なビタミンです。
ニラには、100g当り180μgのビタミンKが含まれます。ビタミンKは、にらの他、葉野菜や納豆などに多く含まれます。体内では腸内細菌によって作られるので、不足の心配は少ない栄養素です。
葉酸
葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12とともに赤血球を作るのに必要なビタミンのため「造血ビタミン」とも呼ばれます。
また、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害を予防し、正常な発育のために重要な栄養素です。たんぱく質や細胞新生に必用な核酸(DNA、RNA)の合成に関わるため、細胞増殖の盛んな胎児の発育に不可欠です。妊娠を希望する女性、妊娠初期の女性は積極的に摂ることが勧められています。
ビタミンC
ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、活性酸素の害から細胞や組織を守ってくれます。
また、ビタミンCは、コラーゲンを合成するときに必要な酵素の働きを助ける「補酵素」として働きます。肌にハリや弾力を与えてシワやたるみを防ぐ、血管を丈夫にして同士を予防する、骨を丈夫にするといった効果が期待できます。
栄養効率の良いおすすめの組み合わせ
栄養豊富なニラですが、上手に食材を組み合わせることでより健康効果を高めることができます。
ニラ×豚肉
豚肉に豊富に含まれるビタミンB1は、疲労回復に効果的な栄養素。ビタミンB1は、ニラの香気成分アリシンによって体内への吸収が高まります。野菜炒めや餃子といった料理で定番の組み合わせですが、栄養の面でも相性抜群といえます。
疲労回復におすすめのレシピはこちら
*【10分レシピ】余り野菜で作る!簡単キムチ炒めの作り方
ニラ×レバー
中華料理の人気メニュー「レバニラ炒め」。豚肉同様、レバーもビタミンB1が豊富なため、疲労回復に効果的。また、レバーには鉄分が豊富に含まれます。ニラに含まれるビタミンCは鉄分の吸収を高めるため、貧血の予防にも役立ちます。
ニラ×卵
良質のたんぱく質やビタミン、ミネラルをバランス良く含む卵は「完全栄養食品」とも呼ばれます。ビタミンCと食物繊維は含んでいませんが、ニラと組み合わせることで欠けた栄養素を補います。溶き卵は消化が良いので、風邪をひいた時にはニラを入れた卵粥がおすすめ。ニラの抗菌作用、血流促進効果と相まって、症状の回復を早めます。
選び方
葉の幅が広く肉厚なもの、香りの強いものが美味しいニラです。葉が鮮やかな緑色でツヤがあり、葉先までピンと伸びているもの、切り口が乾燥していないものが新鮮。葉先がしおれている、切り口が変色しているものは、鮮度が落ちているので避けましょう。
保存方法
水気と乾燥対策のためラップや新聞紙にくるみ、立てて冷蔵庫に保存します。
一度に使いきれない場合は、食べやすい大きさにカットし、保存袋に入れて冷凍庫へ。水気をしっかり切っておけばくっつかず、使う分だけ取り出せるので便利です。冷凍すると食感が弱まるので、炒め物よりはスープの具材やニラ玉など混ぜ込む料理に向いています。
みじん切りにして、唐辛子やにんにくなどの香辛料と一緒に醤油に漬け込めば、香りの良い調味料として使えます。冷奴に乗せる、焼いたお肉のソースにするなど幅広く活用できおすすめです。
ニラを食べて元気に過ごそう!
ニラは私たちの健康維持に役立つ栄養素を豊富に含む、パワフルな野菜です。通年手に入り、加熱時間も短く、カットすればすぐに使える手軽さも魅力です。疲労回復に効果的なニラをたくさん食べて、毎日を元気に過ごしましょう。
参考:
『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』白鳥 早奈英、板木 利隆 監修
日本食品標準成分表(七訂) 文部科学省
日本人の食事摂取基準(2020年度版)
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